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2017年11月

2017年11月23日 (木)

叱り方

部下を叱るのも、上司の大事な仕事です。

しかし、叱られた相手が納得し、改善してくれるかどうかは、

叱り方によって大きく変わってきます。

『人もチームもすぐ動く ANAの教え方』の本の中に書かれてある、

人望を集める上司が実践している叱り方について紹介させてください。

子どもでも大人でも、叱られるのは嫌なものです。

ましてや毎日顔を合わせる先輩・後輩の間柄であれば、

叱った側も叱られた側も、翌日は会社に行くのがおっくうになるでしょう。

でもだからといって、単に叱ることを避けていると、人は育ちません。

ANAの先輩たちは「叱る」ことを、後輩を育成するときの、

ひとつの手段ととらえています。40年以上整備部門に在籍し、

ANAビジネスソリューションでヒューマンエラー対策講師も務める宮崎志郎は、

自分が管理職として後輩を育成するなかで、

そして研修などで他社の人たちにも教える立場になって、

あらためて「叱る」と「怒る」との違いを考えるようになりました。

そして導いた結論が、次のようなものです。

叱る:相手のことを考えたときに出る行動。つまり手段

怒る:自分が思いどおりにならないときに噴出する感情。つまり結果

「簡単に言うと、相手の成長を考えて『叱る』、

他人が自分の思いどおりに動かないときに『怒る』」と宮崎は言います。

叱る「基準」を決めておく

何を叱って、何を叱らないか。チームを引っ張る立場の人にとって、これは大きな問題です。

たとえば遅刻した人を叱る場合。1分遅れたら注意するのか、

それとも5分なのか、1回の遅刻で叱るのか、2日連続だったらどうか……。

叱る「基準」を決めておかないと、場面場面で迷うことになります。これは大きな負担です。

当然、基準がなければ、相手からも信頼されません。

その場の感情や好き嫌いで叱ってしまったら、

後輩は「フェアでない」と感じてしまうでしょう。

ANAの場合、たったひとつの行為に対しては「アドバイス」や「注意」ではなく、

「100%叱る、特に厳しく叱る」という明確な基準があります。

それは「安全に影響を及ぼす行為」です。

具体的には、事故のリスクがあるような行動をする、

あるいは作業中に自分自身の体を危険にさらしたりするような場合です。

整備士の宮崎は、「ヘルメットをかぶらず高所に上っている整備士を見つけたら、

大声で怒鳴ってでもヘルメットをかぶるよう注意する」と言います。

普段は「褒める9:叱る1」のバランスが最適と考えているそうですが、

安全に影響を及ぼす行為については、そういった気づかいゼロで叱っていい。

それが、ANA社員の共通認識になっているのです。

ANAにおいて「安全は経営の基盤」であり、何よりも優先されます。

だからこそ、「安全」が叱るときの基準になっているのです。

勤続20年以上のパイロットで、ボーイング767の機長、猿棒正芳は、

危険な「行動」をしていなかったとしても、安全に対するいい加減な

「姿勢」を垣間見たときには、厳しく対応していると言います。

「50%の確率で天候が悪くなりそうなフライトに対して、

副操縦士が『おそらく天気は回復するんじゃないですか。

そう信じましょう』などと根拠のない発言をしたら、厳しく諭しています。

私たちパイロットは安全運航に対して、つねに最悪のケースを想定する。

それが最低限の、そして最も重要な決めごとだからです」

「99%クロ」でも事情を聞く

「安全に影響を及ぼす行為に関しては、迷わず叱る」、

これがANAの明確なルールです。では、それ以外は何をしても、

いきなり叱られることはないのでしょうか?

20年以上客室センターに在籍するCAで、

ANAビジネスソリューション接遇マナー講師の烏田智子は、

「どんな状況であれ、絶対に頭ごなしに叱ることはしません。

後輩が悪いことが99%わかっていても、必ず事情を聞き、

あとから戦略的に叱る」と言います。

たとえば後輩が遅刻をした場合。ANAの先輩たちは、

1回目は「次は気をつけてね」で終わらせます。でも2回続いたら、

必ず1対1で事情を聞きます。なぜなら、2回続くことのウラには、

何か事情が潜んでいることが多いからです。烏田はこう続けます。

「『傾聴=しっかり聞く』という行為は、後輩の自律成長にとって絶対不可欠な要素です。

聞くことで、さまざまなことがわかります。

反対に聞かないと、後輩からは絶対に何も言ってくれません。

2回遅刻が続いたことに対して、『だらしのない子ね』とレッテルを貼って

叱ることは簡単です。先輩にとっては、時間の短縮になるかもしれません。

でも、よくよく聞いてみると『不規則な生活に慣れず、夜眠れない』とか、

『両親の介護で疲れがたまっている』とか、

やむをえない事情があきらかになることもよくあります

あとで事情を聞く場合は時間があるので、

しっかり準備して戦略的に叱ることができます。ただし、

「その場で」叱るわけではないため、叱るときに相手に自覚がない

可能性があります。あとで叱るときのポイントは、次の3つです。

①叱る根拠を準備する

叱るべき行為についての事実を正確に記録しておき、相手に提示します。

いつ(日付)、どこで(場所)、どのようなことをしたか。

それの何がダメだったのか、どのルールに反しているのかを指摘します。

②レッテルを貼らない

30年以上客室センターに在籍するCAで、

ANAビジネスソリューション人材・研修事業部副部長の石山由美香いわく

「こちらの情報と相手の言い分とが異なる場合は、

事実確認をもう一度することを伝えて、いったん打ち切ることもある」とのこと。

重要なのは、「あなたが悪い」という結論ありきで話を進めないこと。

あくまで事実ベースで冷静に。

③個室で話す

面談は、ほかの社員に気づかれないような個室で行います。

その際は、感情に任せて「怒る」のではなく、戦略的に「聞く」(場合によっては叱る)

ことが重要です。もし、叱る側が自分をコントロールできないほど

感情が高ぶっているときは、自分をクールダウンさせてからにしましょう。

「終わり」の合図は、笑顔

叱られた後の「後味」によって、その後の後輩の気持ちや行動は大きく変わってしまいます。

長時間、粘着質にだらだら叱られたら「口うるさい人だなあ」

という印象しか残らないかもしれません。これでは、

本来伝えたかったことが、まったく伝わらなかったことになります。

CAの烏田は、「叱ったり、注意をしたりした後の、

話の切り上げ方に特に気をつかう」と話します。

たとえば、チーフパーサーは、後輩CAとのやりとりで、

次のように話を切り上げています。

チーフパーサー「今日言ったことは忘れないでね」

CA「申し訳ありませんでした」

チーフパーサー「(笑顔になって)よし。じゃあ終わり!」

CA「今日はわざわざ時間をとっていただきありがとうございました」

チーフパーサー「(笑顔のまま)明日からまた頑張ろう!  気をつけて帰ってね」

CA「はい。失礼します」

このやりとりのポイントは、その前に話していた内容がどれだけヘビーだったとしても、

「終わり」を明確にするということです。言葉で「じゃあ終わり!」

と伝えつつ、笑顔になる。烏田は言います。

 

「深刻な表情のまま『もういいですから帰ってください……』

という暗い雰囲気でこの時間を終わらせると、

相手は注意を受けたことを引きずったまま過ごすことになってしまいます。

この件はこの時間で終わりにします、という気持ちを表現するために

笑顔で送り出して、少しでも心の負担を軽くするように努めています」

終わりよければすべてよし

機長の猿棒も「指摘は短く!」をモットーにしています。

「本当は役に立つ話だったとしても、

だらだらと長いだけで相手は聞いてくれなくなりますよね。

言いたいことは率直に、シンプルに、短く。自分が嫌われたくないとか、

余計な気持ちがあると言い訳を並べ立て、話が長くなってしまいがち。

それでは逆効果です」。叱った後、気まずいからといって、

おどけたり冗談を言ったり、下手に出る人がいますが、

お互いの関係性を変えてしまうので、よくありません。

上司の腕の見せ所だと思って、さくっと切り上げましょう。

「終わりよければすべてよし」。心を込めて叱るからこそ、

最後の最後で悪い印象にならないよう、意識することが大切です。

叱り方に基準を持つ、叱った後は、笑顔でその場を終わらせる。引きずらせない。

非常にいいことだと思いました。正直、僕も怒られた後にそのような

対応をしていただければ、納得できるというか、救われた気持ちになると思います。

そんな心配りができる上司のもとではきっといい組織ができるのでしょうね。

組織を変える、動かす、のは大変な作業になると思いますが、

本気で変えようとしない限り、組織は変わらないと思います。

組織を変える立場にある管理職の方々。普段どのような叱り方をされておられますか?

最高の叱り方、叱った後は叱った相手が納得しているかどうかにあると僕は、思っています。

部下の成長のために叱ってあげてください。

また、いいことがあればたくさん褒めてあげてください。

そのような関係を築ければ必ずいい組織になるのではないでしょうか?

僕の個人的な私感で申し訳ございません。

一度、一番最近に叱った部下のことを思い出して考えてみてください。

 

2017年11月 7日 (火)

「コンフォートゾーン」を広げるために試してみるべき10のこと

居心地のいい状況のことをコンフォートゾーンと呼ぶことはご存知ですが?

私たちは、人生の90%以上を無意識で居心地のいい「コンフォートゾーン」

で過ごしているそうです。そこを出るということは、未知なる領域へ踏み出す

ということになり、中々抜け出すことが難しいと言われております。

新しい環境、言い方を変えれば、居心地の悪い環境で失敗し、

恥をかくのは誰でも避けたいことです。しかし、一歩踏み出すことで

今まで得られなかったことが得られることになり自身の成長に繋がります。

ではどうすればコンフォートゾーンを広げる、または変えることができるのか。

そのための10のアイデアを紹介している記事があったので紹介させてください。

1.日記をつけて、自分のコンフォートゾーンの“境界線”がどこにあるのかを考える。

自分はどのような活動や会話を心地よく感じ、何をリスクや脅威と感じるのか。

例えば、初対面の人と複数で会うのは良くても、赤の他人と一対一で

1時間会話をするのは絶対に嫌だという人もいる。それが彼らにとっての境界だ。

自分の場合はどうか書き記し、そこから小さな一歩を踏み出すために

何ができるかを考えてみよう。

2.過去に絵画、ダンス、彫刻、楽器などの趣味を持っていた人は、

再びその活動を始めてみよう。高校生の頃やその前のことでもいい。

クリエイティブな一面を刺激することで、自分の魅力を向上させることができる。

3.日常生活のちょっとした部分を変えて、変化することに慣れる。

いつもと違うものを食べてみる、家具の配置を変えてみる、

通勤ルートを変えてみるなど、日常の決まりきったパターンから抜け出してみよう。

4.図書館やコミュニティセンターなどの集まりに参加してみる。

街の人々と、本やスポーツ、映画や好きな犬などについて語り合おう。

新しい人と出会うことで自信が高まり、新たな視点を得ることができる。

それが活力をみなぎらせてくれるのだ。

5.自分の外見を変えてみる。大金をかける必要はなく、古着屋で手頃な服を買えばいい。

6.「もっと自信があったら周囲の人にこう言いたい」というリストを作成する。

その時が来るまでに練習しておくのだ。“その時”はきっと来る。

思いやりを持って自分の考えを共有する練習をしよう。

そしてその時が来たら迷わず発言しよう。

7.友達を誘って自己啓発プロジェクトに参加しよう。

人脈作りや交流を目的としたイベントでもいいし、運動や文化的なことをしてもいい。

「自分は今、新しい自分になろうとしている。その過程で、

今までの何よりも真剣に取り組んでいる」と実感したら、自分が望む人生や

キャリアを追求しよう。この過程には「成功」も「失敗」もない。

立ち止まらず、成長し続けることだ。 8.周囲の人々に気を配る。

彼らについて自分が思うこと、彼らの素晴らしいところを本人に伝え、

一歩踏み出すのを促そう。自分が変わるために努力していれば、

周囲の人々も変わっていく。お互いに切磋琢磨できる社会を作っていくのだ。

9.人生やキャリアについて振り返り、「自分が本当に望んでいることは何なのか」を自問してみよう。

あえて大きな夢を持とう。ビジョンを打ち立て、

そこに向かって一歩ずつ進んでいくことが夢の実現につながる。

10.最後に、今の自分がどんな状況であろうと、自分は能力のある優秀な人物

だということを忘れてはならない。

一歩踏み出すのは難しく大変なことだ。何よりも重要なのは、

自分を大切にすることだ。コンフォートゾーンから踏み出す時は、

自分の背中をポンと叩いて励ましてあげよう。そして何より、自分が、

人生の主役であるということを忘れてはならない。

居心地のいい状況を広げることで、今までにない視野で物事を見ることができ、

新しい発見やいいアイデアが浮かんでくるかもしれません。

人それぞれ居心地のいい空間には違いがあると思いますが、

一度上記の10の項目を参考に自分のコンフォートゾーンを見つけてみてください。

仏光殿オフィシャルサイト