暑さも少し緩んできて、だんだんと秋らしくなってきました。
秋を代表する魚といえば、なんといってもサンマですよね!
今年はもうサンマは召し上がりましたか?
値段も手頃で脂の乗ったサンマは秋の食卓の定番メニューでしたが、
ここ数年、不漁が続き、なかなか気軽に食べることのできない魚になりつつあります。
今回は、そんなサンマについて色々と調べてみました。
サンマは昔、食用ではなかった?
江戸時代中期、江戸の魚河岸に流通するようになったばかりの頃は、
好んで食べられる魚ではなかったようです。
当時は、魚は脂の少ない淡白なものが上品とされており、サンマのような脂の多い魚は下品とされていました。
粋であることを重んじる江戸っ子たちは、そんな下品なサンマを食べることをよしとしなかったそうです。
江戸時代中期に刊行された「本朝食鑑」や「和漢三才図会」といった本によると、当時のサンマは食べる為ではなく、主に灯油用の油をとる為につかわれていたそうです。
なんだかとても勿体無いですよね。
ところが、サンマを嫌っていた江戸っ子たちも次第にサンマを食べるようになったそうです。
そのきっかけが火事。
「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉があるように、江戸時代は大きな火事が何度も発生しました。
江戸267年の間で大火と呼ばれる大火事が49回、大小含めれば1798回もの火事が起きたそうです。
江戸時代の火事は、人口の増加も原因のひとつになっていますが、そんな頻発する火事と人口増加によって、江戸っ子たちの食生活も変わっていきました。
やがて「安くて長きはさんまなり」と張り紙をした魚屋が話題になったりして、サンマは江戸の庶民の食べ物として定着していったようです。
なぜサンマが不漁なのか?
そんな秋の人気食材サンマですが、2015年からサンマは不漁が続いています。
シーズンが始まったばかりの今年も序盤から不漁で、昨年に比べて2倍もの値段になっている市場もあるとのことです。
日本でも有数の水揚げを誇る大船渡市では、毎年8月末のお祭りで初物のサンマを振舞っていましたが、今年は十分な量のサンマが確保できず、やむなく去年の冷凍サンマで代替したそうです。
サンマは北太平洋を広く回遊する回遊魚です。
日本列島の南方沖で孵化したサンマは、黒潮に乗って北上します。
北海道のはるか東方沖の北太平洋でたくさん餌を食べ、丸々と太って脂をしっかりと蓄えたサンマたちが、夏の終わりから秋にかけて、今度は親潮に乗って日本近海を南下していきます。
その一番脂が乗った美味しいサンマが北海道沖や三陸沖などで捕獲され、我々の食卓にのぼります。
この秋に南下するサンマの群れが、最近は日本列島から離れた海域を南下しているのが不漁の原因ではと言われています。
温暖化によって日本近海の水温が上昇したことが関係しているとの指摘もありましが、正確な原因はわかっていないようです。
そしてもうひとつ、日本以外の漁船による捕獲が近年急増していることも、日本の漁獲量が減っている一因だと言われています。
日本の漁船は、北海道のはるか東方沖の北太平洋で育ったサンマが、親潮に乗って日本近海に来たところを捕獲していますが、一方、中国や台湾、韓国の漁船はサンマの群れが日本近海に近づく前に、公海上で先取りしています。
それでは、日本の漁船も同じエリアに獲りにいけばよいのでは?と思いますが、日本のサンマ漁の漁船は20トンから大きくても200トンと比較的小型で、遠くまで漁に出ることは難しいそうです。
一方、他の国の漁船は1千トンクラスの大型船で、サンマをどんどん獲っては冷凍にしています。
従って、海外で出回っているサンマはほとんどが冷凍物で、わずかに出回っている生のサンマは、日本からの輸入物だそうです。なんだか複雑ですね。
鮮度の見分け方
色々と不漁のことを書きましたが、それでもやっぱり旬の秋刀魚を食べたい!
そして、せっかく買うならなるべく鮮度の良い秋刀魚を買いたいですよね。
サンマの鮮度の見極めとして
・尾を持ちサンマの頭を上に向けたとき、体が曲がらずにできるだけ真っ直ぐに立つもの
・目が濁っていないもの
・口先がほんのりと黄色いこと
これが鮮度が良く、美味しい秋刀魚の見分け方だそうです。
不漁が続くサンマ漁ですが、せっかくの食欲の秋、旬な食材もたくさんあります。
季節の変わり目は体調も崩しがちですが、しっかり食べてこの秋を楽しみましょう!